日本で大麻(ヘンプ)はどういう扱いになっているのか?
日本で大麻と言えばマイナスイメージが先行していますが、日本の法律では大麻の全てをNGとしているわけではないため、「ヘンプ」や「CBD(カンナビジオール)」と呼ばれる素材が使われた製品の輸入・販売が許可されています。
実際に繊維として産業利用されていたり、種子油を使用したサプリメントもあります。これらは成熟した大麻草の種や茎から抽出したCBDだけを利用しているため、体内に入ったとしても精神や神経系に悪影響を与えることはありません。
ちなみに大麻について調べていると「カンナビノイド」という言葉が出てきますが、これは「大麻が含有する薬効成分の総称」のことです。
大麻には実に数多くの化学物質が含まれていて、それぞれが別の作用をすることで研究が進められています。
「ヘンプとは?」「CBDとは?」
【ヘンプとは】
ヘンプとは大麻のことです。
大麻には様々な呼び名があり、
たいま、オオアサ、ヘンプ、マリファナ、カンナビス、ウィード
などがあります。
※国によってヘンプと呼ぶためのTHC含有量の基準が異なる
※種は同じでも由来、意味、品種、用途目的が異なる
例えば、
- ヘンプ=THC含有量が少なく産業用、医療用として使用されることが多い
- マリファナ=THC含有量が多く(10~15%)精神活動性効果が高く(いわゆるハイになる状態)嗜好用、医療用で使用される
- カンナビス=主に加工前の大麻草で大麻全体を意味する
【CBDとは】
カンナビジオールと呼ばれる大麻に含まれる成分の一つです。
日本の法律はもちろん一部ではありますが世界の国々で解禁となり合法化され、WHOでもその安全性が保証されているため、今では世界中でCBDを使ったコスメが大人気となっています。
アメリカの一部の州では「THCが0.3%未満の含有量であれば医療用または食品用に使用可能」という農業法案が2018年に可決されました。
他にも2017年にはカナダでヘンプの使用を合法化する方針が発表されています。
日本における大麻の位置づけは?
日本では大麻の部位によって所持と加工が法律で禁じられているため、海外では大麻の成分を含む化粧品や薬品がすでに製品化され販売されていますが、日本で禁止されている成分を含む製品もあるため輸入する際の規制が厳しくなっているのが現状です。
【日本の法律で禁止されていること・されていないこと】
NG:麻の穂、根、葉(THC=テトラヒドロカンナビノール)
OK:成熟した大麻の種、茎(CBD=カンナビジオール)
【THCとは】
テトラヒドロカンナビノールと呼ばれている日本の法律で禁止されている大麻に含まれる成分の一つです。
THC、CBDはいずれも大麻に含まれている成分ですが、分子式は同じでも構造式が異なることで作用に違いがみられます。
このうち日本で禁止されているのはTHCです。
この成分を含む製品の販売はもちろん輸入も禁止されていて、当然所持することも日本の法律では許されていません。
CBD製品の中にはTHCを含む悪質な製品もネットなどで売られているため、個人輸入ではハイリスクとなるため特に注意が必要です。
CBDのメリットや期待できる効果効能
CBDは精神や神経系へ悪影響を与える作用を有していないどころか、1000件以上もの研究が行われていて、現在では安全素材であることから化粧品などでも使われるようになりました。
例えば口から摂取するオイルや肌に塗るクリームなどが挙げられます。「肌に塗れば肌の再生が促される」というデータも発表されているほど、安全性が高い成分とされ、ヨーロッパを中心にCBDコスメの人気が高まっています。
- 【メリット・期待できる効果など】
- 慢性的な痛みを和らげる
- 筋肉痛を和らげる
- リラックス、デドックス効果
- 栄養価が高いことで不足しがちな栄養補給
- 抗酸化作用(アンチエイジング、肌荒れなど)
- 肌の保湿
- 鎮静作用
- 痙攣、嘔吐、不安神経症などの症状を和らげる
- 統合失調症への非定型抗精神病薬
- てんかんの特効薬となりえる
などなど。
今までの研究から実に多くの作用と安全性が明らかとなっています。
日本でも人気のヘンプオイルの原料は完全栄養食品と称されるほど栄養価の高いスーパーフードであることから、口から摂取すれば健康的な体作りに、美容オイルとして肌に塗れば肌の保湿ケアに役立つとされることでセレブの間でも人気があります。
加えてCBDオイルというものもあり、こちらは沈静作用、リラクゼーション効果を期待できるオイルとなります。
心身ともにリラックスできるため、日常生活や仕事など日頃からストレスを感じている人に特におすすめです。寝る前に数滴直接舌へ垂らすか、飲食の際に混ぜて摂ることで効果を期待できます。
次に植物性たんぱく質が豊富(種子100gから1日の64%の必要量摂取可能)なことで知られる大麻は、他にも植物繊維、ミネラル、オメガ3、6、9といった上質な脂肪酸も同時に補うことができます。
こうしたことらヘンププロテインなんてものもあります。
経験者の話では「特に美味しいものではなかった」とのことです。
ただ手軽に高品質な植物性たんぱく質やそのほかの栄養を摂取できると思えば我慢できる範囲ではないでしょうか。
他にも「コンクリートにすると環境にやさしく断熱と吸収効果はあるが強度は劣る」や「ヘンプ繊維をプラスチック材に混ぜたもので船、自動車、楽器が作られている」など幅広いジャンルでヘンプは活躍しています。
CBDのデメリット
CBDそのものにデメリットはないように思われますが、強いて言うならオイルなどの製品に実はTHCが含まれていて、知らずに使ってしまうことがある。ということです。
実際に入れてはいけない成分を入れた製品を製造し販売した人や購入した個人が逮捕されたことも過去にあります。
また違法だと知らずに輸入・入手したものであっても、手にしてしまえば日本では犯罪となる可能性があるため個人輸入はしない方がいいでしょう。
安全に購入するなら正規代理店の利用をお勧めします。
大麻(ヘンプ)CBD製品の輸入について
大麻成分から作られた製品を輸入する際には、初回はもちろん2回目以降も同じ手続きが行われるため、「前回は輸入できたのに今回はダメ」という事案も実際に発生しています。
また輸入・販売後にTHCを含む製品が見つかり回収。なんてことも。
さて、実際に輸入するとなった場合に必要となるのは、まず用意する食品等輸入届出書に加え、
- オイルの成分表(分析証明書)
- 製造工程の詳細(文章や写真など)
これらを海外メーカーに出してもらいます。
その後、
大麻取締法に違反していないことの証明を厚労省から受ける
↓
日本の法律違反をしていないことの誓約書をメーカーから得る
↓
全てのチェックを通関で受けて許可が下りることで輸入可能となる
こうした手続きが毎回必要になります。
ちなみに提出書類では日本の法律で違法とならない「成熟した大麻の種子と茎だけで作られたという証拠になる内容」でなければ許可は下りません。
たとえ微量であってもTHCが含まれていたり、大麻の葉など禁止部位が使われていると日本では違法となってしまいます。
しかし製造工程というのは企業秘密も有しているため、いくら輸入許可を得るためとはいえ初見で快く開示してくれるメーカーは少ないでしょう。この点も個人輸入のデメリットと言えます。
万が一輸入後に違法成分の含有が判明した場合の対処法
過去に日本に輸入した後、海外に工場を置く本社の内部告発により日本で販売停止となる事案が発生した製品があります。
こうしたことは日本と海外とでの認識の違い、提出した書類の内容の誤りなどが原因で起こりえることです。
例えば国によってOKとするTHC含有量が異なるため、「OKの範囲内だったので0%として書類を提出した」などもありえるわけです。
確かに製造した国ではOKかもしれませんが、日本では含有している時点でアウトなのです。
【対処法】
1.検査機関で成分を分析してもらう
カンナビノイド審査委員会
一般社団法人日本薬用植物研究推進協会
RCTジャパン
日本カンナビジオール研究会
2.THCの含有が発覚したら
・HPにその旨を記載する
・製品を速やかに回収する
・所轄の警察へ連絡する
【発覚後に対応しなかった場合】
日本の法律によると「違法成分を所持した事実」「違法である認識があった」この2つで麻薬取締法違反が成立します。
つまり
THC含有を知らなかったまではセーフ
↓
THC含有発覚後なにも対処しなかったらアウト
このようになります。
バレなければ…という思いはあったとしても、過去の事例のように内部告発で後になってメーカー側からアナウンスされるケースもあるわけです。
そのアナウンスに気づいていながら所持・使用し続けることが違法となります。
そのためTHC含有が疑われるときは速やかに適切な対処をすることが大事です。
この流れからみて、輸入後にTHC含有が発覚してもすぐに逮捕というわけではありませんが、万が一発覚したときにはすぐに必要な対応をするようにしてください。
【万が一の時の相談先】
厚生労働省 全国地方厚生局 麻薬取締部 所在地
厚生労働省 薬物乱用防止相談窓口一覧
または最寄りの警察や、CBD製品の輸入に関する相談を受けている弁護士などに相談しましょう。
まとめ
今回は大麻化粧品(ヘンプコスメ)についてまとめました。
「大麻=ダメなもの」という認識が自分の中で強かった時期にこのコスメに関する話を聞く機会があって、調べてみたら「良いも悪いも部位によって…」ということを初めて知りました。
そこで私のように「大麻の全部がダメなんじゃないの?」と思っている人向けに「誤解し続けたままよりは…」と思い記事を作成しました。
海外では既に人気が高まっているジャンルではあるので、数年もすれば日本でも扱うメーカーが増えて今よりも身近なコスメになっていくのではないでしょうか。
ちなみに海外旅行から日本に帰ってくる際のお土産として持ち込むことも可能ですが、もちろんTHCフリーの製品に限ります。
製品によってはヘンプ由来であることを証明する日本語で書かれた証明書付き。なんてものもあるので、そうしたものを選ぶとより安心ですし、国内で購入する際は個人輸入よりもリスクが低い正規代理店を利用するのが安全なのでお勧めです。